長寿者ほど食物繊維の摂取量が多い

大正から昭和時代の衛生学者である近藤正二さんは、地域の食生活が寿命にどのような影響を与えるのかをつぶさに研究した学者として有名です。昭和2年頃から8年以上もの間、日本中をくまなく、990カ町村以上を訪ね歩きました。

近藤先生は可歳以上が多くいる地域を「長寿村」とし、8歳以上が少なく若死にの多い地域を「短命村」と名づけて比較しました。「その記録を見ると、長寿村では野菜や海藻、大豆、ゴマ、小魚、低塩分の食事をしていることが示されています。主食は精製していない雑穀、主に玄米や麦、粟、稗、季、蕎麦などです。とくにカボチャ、ニンジン、イモ類、大豆をよく食べる地域は長寿者が多くなります。

反対に、短命村では野菜が少なく、白米を過食し、切り身の魚や肉をメインとする食事をしていました。野菜のないところに長寿者は少なく、白米ばかり食べている地域では脳出血が多いとも、近藤先生は分析しています。この研究から見えてくることの一つは、長寿村と短命村の決定的な違いは、食物繊維の摂取量にあることでしょう。食物繊維はかつて「食べ物のカス」という扱いでしたが、現在は炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミンからなる「5大栄養素」に次ぐ「第6の栄養素」と呼ばれています。しかし、食物繊維こそ人の体にもっとも大事な栄養素です。食物繊維ほど健康に影響する栄養素はありません。

なぜなら、食物繊維は腸内細菌の行いをよくする最良のエサだからです。人の腸は食物繊維を消化できませんが、腸内細菌はこれを発酵させて短鎖脂肪酸など健康の増進に重要な成分をつくり出してくれます。また、腸内細菌自身も食物繊維を分解して自らのエネルギー源とし、仲間を増やして活動力を高めることに利用しているのです。

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