日本人には日本人ならではの腸内細菌がいる

腸内細菌がつくり出す酵素は、民族によって異なることもわかっています。私たち日本人にも、日本人ならではの酵素をつくり出す特別な腸内細菌がいます。たとえば、海藻を分解する酵素をつくり出す細菌です。日本人の8割もの人に海藻の分解酵素をつくる腸内細菌が存在しています。

日本人は古代より海藻類を常食する食文化を持ってきました。海藻を日常的に食すのは、四方を海に囲まれた日本独特の食文化であり、日本人ほど海藻を好む民族は、世界でも珍しいといわれています。海藻の分解酵素をつくり出せる遺伝子は、海にすむ細菌に存在しています。その細菌を日本人が持っているということは、「遺伝子の水平伝播」が起こったと考えられます。まったく異なる個体間で起こる遺伝子のとり込みである「遺伝子の水平伝播」は、生物が進化する過程においてたびたび起こることです。

私たち日本人は海藻を常食する中で、通常はエネルギーゼロとされる海藻からも、栄養素やエネルギーをとり出すための酵素をつくる細菌を腸にとり込んでいたのです。

また、アフリカや南アメリカのベネズエラの原住民など、トウモロコシを主食とし低タンパク質の食事をする民族は、アミノ酸の一種であるグルタミンの分解酵素が豊富です。食事から限られたタンパク質しか得られないため、これを効率的に吸収できるよう、その分解酵素を多く持ったのでしょう。反対に、高タンパク質・高脂肪の食事が多いアメリカ都市部の人たちは、脂質の代謝に関与する遺伝子を持った腸内細菌が多いと報告されています。このように、宿主がどのような食事を伝統的にしてきたかによって、腸内細菌とそれらがつくり出す酵素の種類は違ってくるのです。

なお、消化酵素を効率よく得るために、欠かせないことがあります。よく噛んで食べることです。唾液中には、消化を助ける酵素の他、活性酸素を消去する酵素も含まれます。「ロ8回を目安にゆっくり噛んで食べるようにすると、唾液の分泌量が増え、腸内での消化の負担も軽減でき、酵素の分泌量を増やせるようになります。

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