マイ乳酸菌が腸の健康を増進させる

体だけでなく、脳も心も健康に保つには、今ある腸内フローラをより豊かに、体によい働きをする「もうひとりの自分」に育てることです。そのためにまず必要となるのは、「マイ乳酸菌を増やす」ことです。

最近の研究により、腸にはその人特有の乳酸菌がすみついていることが明らかになりました。私はこれを「マイ乳酸菌」と呼んでいます。

乳酸菌は、いまだ発見されていないものも含めると、数十億個も存在すると予測されています。そうした乳酸菌のうち、マイ乳酸菌がどんな種類で何種類いるのかは、その人自身の因子によっても違ってきますし、乳児期に誰に世話をしてもらったかなどの環境因子によっても違ってきます。

たとえば、母親に育てられたら、母親が持つ乳酸菌によく似たマイ乳酸菌を持つようになります。父親に育てられたら父親の乳酸菌に似るようになります。ヤクルトヨーロッパ研究所は、「母親のビフィズス菌が子どもに受け継がれる」という研究結果を報告しています。子どものビフィズス菌の遺伝子分布が、母親のものと一致していることがわかったのです。また、腸内細菌の組成を決めているのは、生まれた直後に接触した人が持っていた菌であるという研究報告も発表されています。さらに、血液型によっても違ってきます。腸壁のムチン層は、A型の人はA型の血液型物質から、B型の人はB型の血液型物質からできています。乳酸菌は、それぞれの血液型に相応したものが結合します。そのことから、「A型乳酸菌」「B型乳酸菌」「0型乳酸菌」「AB型乳酸菌」などという呼び方もあります。簡単にいってしまえば、A型の人にはA型の、B型の人にはB型の乳酸菌がすみついているということです。

そうしたことに加えて、白血球の形や体質、生活環境などによっても、乳酸菌の組成は変わってきます。

生後1年間、赤ちゃんの腸はスポンジのように身の回りの細菌をとり込むことはお話ししました。それらの細菌からどれを腸内にすみつかせるのかを選別しているのは、IgA抗体です。乳酸菌も同様です。多種多様にある乳酸菌のグループの中から腸に定着できる菌種をIgA抗体が決めているという事実も、最近、アメリカの学者によって明らかにされています。

マイ乳酸菌は腸にすむことを許された菌たちです。生まれてまもなく自分の腸にすみついたマイ乳酸菌を増やすことが、腸内環境をよりよく整えるためには欠かせません。乳酸菌などの善玉菌が活発に働いていれば、最大勢力の日和見菌はいっせいに善玉菌に味方し、よい働きをするようになります。「もうひとりの自分」のよい顔を引き出せるようになるのです。

乳酸菌には、腸壁の表層を覆うムチン層にくっつき、腸粘膜を酸性に保つ働きがあります。多くの病原菌は酸性の場所では活動できませんから、乳酸菌を増やせば、腸内で病原菌などが増殖するのを妨げられます。大腸菌などの悪玉菌も、善玉菌が優勢の腸内では増殖できず、病原性を表さないこともわかっています。

さらに、乳酸菌の細胞壁には強力な免疫増強因子があって、それが免疫細胞を刺激する働きがあります。乳酸菌が活発に働く腸内では、免疫細胞も元気に働くことができるのです。

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